Région

早く、強く 挑戦しつづける
〜サッカーを通じた豊かな地域づくりを目指して〜

サッカーJリーグへの参入を目指し、現在は一つ下のカテゴリーであるJFLにて好成績を収め、Jリーグ参入まであと一歩まで迫っているプロサッカーチームがある。「ラインメール青森フットボールクラブ」だ。プロスポーツチーム運営とは、具体的にどのようなビジネスなのかご存じない方も多いだろう。例えば選手との契約管理などの人事面、あるいは集客やスポンサーを増やすための広報PR活動など、一般企業の運営とは異なる点が多く存在する。今回は、サッカーワールドカップカタール大会の興奮が冷めやらぬ中、東和グループという地域中核企業の経営者でありつつ「ラインメール青森フットボールクラブ」のオーナーを兼任する榊社長に、サッカーへの想いやスポーツチーム運営を通じた地域貢献などについて話を伺った。

榊 美樹

さかき・よしき:1951年弘前市生まれ。1991年、東和グループ代表、東和電材株式会社代表取締役就任。1995年、株式会社ラインメール青森フットボールクラブを創設し代表取締役就任。

――まずはチームについて教えて下さい

ラインメール青森フットボールクラブは、青森市をホームタウンとし、現在はJFL(日本フットボールリーグ)のカテゴリーに属するプロサッカーチームです。サッカーを通じて「もっと健やかに、もっと幸せに、もっと豊かな」地域づくりを目指して活動しております。

チーム名の由来は、ドイツ語のRein(=清んだ)と、Meer(=海)を組み合わせた造語で、「清んだ海、青い森」の意味合いを有します。

――チーム創設のきっかけは

チーム創設は1995年です。ご縁があって私が青森県体育協会に籍を置いていたころの話ですが、当時は青森県内に上位のカテゴリーを目指せるような強いサッカーチームが存在しませんでした。

そこで、自分自身のサッカーの経験も活かして、まずは東北や全国で通用するようなサッカーチームを作ることを目的に、青森県サッカー協会と連携し社会人の青森県選抜チームを作りました。これが現在のラインメール青森フットボールクラブの始まりです。チーム創設当初から、挑戦するからにはJリーグへの参入を見据えたプロスポーツチームを作るという目標を掲げておりました。

Jリーグ参入を目指すうえでは、青森山田高校の存在は大きいですね。同校はこれまでに数多くのサッカー選手を輩出している日本でも有数のサッカー強豪校です。我々も同校とは協力体制を構築しており、同校出身の選手はこれまでも多く在籍しています。同校の黒田監督とは旧知の仲なのですが、来シーズンはJ2の「FC町田ゼルビア」の監督に就任することとなりましたね。是非頑張ってほしいです。

――当時の苦労など教えて下さい

私はこれまで、青森県でのサッカーの普及に向けた様々な活動の機会をいただくことができました。その中で最も印象に残っている出来事は、当時Jリーグで絶大な強さと人気を博していた「ヴェルディ川崎」のトレーニングマッチを青森県で実現したことです。多くのスター選手をそろえたタレント集団でしたので、金銭面も含めた様々な苦労がありましたが、青森県サッカー協会と連携し、県民にプロのレベルの試合を生で感じてほしいとの思いから、なんとか実現することができました。

――昨年は青森銀行からの出向者を採用されましたが、その狙いは?

まずは前提となる話ですが、私は、青森銀行とみちのく銀行の合併に大賛成です。これまでしのぎを削ってきた両行の合併を聞いた時は少し驚きましたが、同時に感銘を受けました。そこに至るまでには様々な苦労があったとは思いますが、このような大きな決断を下した両行には敬意を表します。同時に、両行の強み活かしてシナジーをもたらしサービスのクオリティを上げ、青森県の経済を支える存在として、より一層地域に貢献していくことに大いに期待しているところです。

プロクレアホールディングスが掲げる「地域産業の発展に貢献」という基本理念と、我々が目指すサッカーを通じた豊かな地域づくりや、「挑戦をしつづけ、あらゆる人たちに勇気と感動を与える」というチームのミッションには、「地域との共存」を目指すという強い思いが共有されています。

青森銀行からの出向者である畑中GM(ゼネラルマネージャー)には、実際に業務に携わり、一緒に汗をかきながら、プロスポーツビジネスについての理解を深めていただくと同時に、青森銀行で培ってきたコンサルティングのノウハウを活かしてチーム運営に貢献していただきたいと思っております。初めて知る世界ですので苦労も多いとは思いますが、スポーツを通じて県民に感動を与えるという喜びは、何事にも代えがたいものがあります。こうした体験を通じて、銀行に戻られた際には、この分野の先駆者として地域産業の発展に貢献していただきたいと思っております。

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